2024.03.28

犬や猫の正しい口腔ケア方法|歯磨きに慣れさせる方法を紹介

犬や猫の正しい口腔ケア方法|歯磨きに慣れさせる方法を紹介

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    犬や猫がなるべく長く生きるためには、健康維持が重要です。健康を守る方法のひとつとして、正しい口腔ケアについて覚えておきましょう。
    本記事では、犬や猫の口腔トラブルとその予防をするための歯磨きの方法について紹介します。

    犬や猫に起きやすい口腔トラブル

    犬や猫は、人と違って自分から歯磨きを行いません。付着した歯垢は、犬や猫の口腔環境では3~5日で歯石となり、口腔トラブルが生じる原因となります。初期の口腔トラブルを放置してしまうと重症化につながる可能性もあるため、早めのケアが大切です。
    ここでは、犬や猫の口腔トラブルの具体的な症状を説明します。

    口臭

    飼い主が気づいてしまうほどの口臭のほとんどは、歯についた歯垢や歯石が原因です。きれいな口腔環境を保っていれば、嫌なにおいがすることはほとんどありません。
    歯垢は、歯磨きをしないと溜まってしまいやすく、噛んで遊ぶ「歯磨きおもちゃ」や「歯磨きガム」だけではなかなか取り切れません。
    歯垢や口臭を防ぐためには歯ブラシを使った歯磨きが効果的です。ただし、いきなり歯ブラシで歯磨きをし始めることは難しいため、徐々に慣らしてからケアを行いましょう。

    歯周病

    歯に歯垢が溜まった状態で放置すると、歯石が発生します。歯石が口腔内にあると、細菌の生育環境ができてしまい、歯肉炎を引き起こす原因となります。
    歯周病は、その炎症が歯や歯ぐき周辺にも起こる病気です。この病気が進行すると、あごの骨まで溶かしてしまい、最終的には内臓の疾患にも関わる大病を患うことがあります。
    歯の汚れが目立つ、歯ぐきが腫れている、口臭がひどくなったなどの症状が出ている場合、歯周病に発展しているおそれがあるため、病院へ行って診察してもらいましょう。

    歯肉口内炎

    歯肉口内炎は、慢性的に口内炎ができてしまい、ひどい場合には脱水や衰弱で命を落としてしまう可能性もある病気です。歯肉口内炎でできる口内炎は、すぐには完治せず歯周病とウイルス疾患が複雑に関連した重度のものです。
    歯肉口内炎は犬よりも猫に起こることが多く、発症する割合は、100頭のうち6~7匹程度です。
    よだれが増えた・歯ぐきが腫れている・水分や食事を摂りたがらない・口臭がひどくなったなどの症状がみられた場合、歯肉口内炎の可能性があるため、すぐに病院へ連れて行きましょう。

    骨欠損

    骨欠損とは、歯周病を放置してしまった結果、重症化して歯の周りにある骨が壊れてしまう病気です。
    歯周病菌から出る毒素や炎症反応に歯を支える歯槽骨が溶けることを、骨吸収と呼びます。骨吸収が重症化すると、歯だけでなく周辺の硬いあごの骨まで進行し日常生活を脅かしてしまう危険性もあります。
    無視できないほど口臭がひどい、口周りが腫れている、触られるのを極端に嫌がるなどの症状があれば、骨欠損が起きている可能性があります。
    骨欠損が生じて上あごから鼻にかけての骨が吸収され、口と鼻がつながってしまう例もあるため、類似の症状があれば、すぐに病院に連れていくようおすすめします。

    歯磨きに慣れさせる方法

    犬や猫はどのようにして口腔ケアをすると、最も効果的なのでしょうか。
    犬や猫の口腔ケアの方法として、人と同じように「歯磨き」をするのが効果的です。しかし、慣れない歯磨きに犬や猫が驚いてしまう可能性もあります。
    ここでは、どのようにして歯磨きに慣れさせるかや、実践する際の方法について紹介します。

    顔や口の周りを触る

    最初から、歯を触るのではなく、周辺の顔やお口を触りリラックスした雰囲気にすることを心掛けてください。無理矢理触ったり、怒ったように接しているとペットは委縮し、警戒してしまうおそれがあります。
    お互いにリラックスしているときや、遊び疲れてゴロンとしているとき、眠たそうにウトウトしているときがチャレンジしやすい状況です。
    飼い主が口周りを自由に触っても、取り乱さなくなることが次のステップへの目安です。

    歯や歯ぐきを触る

    次の段階は、歯や歯ぐきに触れることができるようになることを目指します。その際には、市販の歯磨きシートや水で濡らして絞ったガーゼなどを使って歯をこすってみてください。
    人の歯と形や大きさ、犬や猫の個体差もあるため、最初からゴシゴシとこするのではなく、力加減に気を付けながら優しく行います。
    楽しくコミュニケーションを取りながら触れるように心掛けると、犬や猫も歯を触られることが楽しいと感じ、最終目的の「歯磨き」にスムーズに移行できるでしょう。

    歯ブラシに慣れさせる

    口内に触れられるようになれば、すぐにでも歯ブラシを使いたいところですが、歯ブラシをいきなり使ってしまうと、ペット次第では嫌な気持ちになる可能性もあります。
    そうならないためにも、以下のように「歯ブラシに慣れてもらう」ことを意識しましょう。

    ・歯ブラシを見せる
    ・歯ブラシのニオイを嗅がせる
    ・歯ブラシで遊ばせる
    ・歯にブラシを当てて嫌がらなければおやつをあげる
    ・褒める言葉をかける

    このようにして、徐々に歯ブラシとの距離を縮めるようにします。

    歯磨きをする

    歯磨きをする前には、歯ブラシを必ず濡らしておきます。そうすることで滑りが良くなり、歯垢や歯石が取れやすくなるためです。
    歯を磨くときのポイントは、歯ブラシをペングリップで軽く持ち、歯ぐきの境目に45℃の角度であてて優しく磨くことです。力加減は、熟した桃の皮がめくれない程度を目安にしてください。
    猫は警戒心が高く、一般的に犬よりも歯磨きが難しいといわれています。そのため、根気強く歯ブラシに慣れさせることが重要です。

    歯磨きサポートアイテム

    歯磨きよりも手軽な、歯磨きサポートアイテムをここで紹介します。健康で長く一緒に過ごせるように、サポートアイテムもうまく使って口腔ケアを行いましょう。
    ここでは、2つの歯磨きサポートアイテムをご紹介します。

    液体タイプ

    液体タイプの歯磨きサポートアイテムには、飲み水に入れるだけの簡単なものやフレーバー付きでごはんに混ぜるものなどがあります。
    犬や猫のお口へ1滴垂らすだけのものやスプレー型でシュッと舌にかければよいものなどがあり、液体タイプは幅広い方法でケアができることが特徴です。
    どちらも、簡単に口腔ケアができるため、毎日でも継続できるでしょう。
    ただし、これらは歯垢や歯石の付着を予防するためのサポートアイテムです。付着してしまった歯垢や歯石には効果が薄いとされています。

    歯磨きトイ

    歯磨きトイも歯磨きサポートアイテムのひとつです。おもちゃを噛んで遊び、歯の表面の歯垢を落とせます。
    さまざまな形や大きさのものがあるため、犬や猫の口の大きさを把握したうえで選んであげましょう。
    また、歯磨きトイは噛んで遊んだら、そのままにせず、こまめに洗って細菌を繁殖させないようにしましょう。細菌が繁殖したトイを再度口に入れてしまっては本末転倒です。そのため、洗いやすい形のものを選ぶとよいでしょう。

    まとめ

    本記事では、犬や猫に起こりがちな口腔トラブルと、口腔ケアのひとつである歯磨きに慣れる方法をお伝えしました。
    歯磨きは、犬や猫にとって慣れないケアであるためすぐにはできません。家族とのコミュニケーションの一環として、少しずつ慣れさせ、歯磨きを日々のケアに取り入れて健康な毎日を過ごしましょう。

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